【UTMFレース小噺】UTMFのメイン補給はから揚げだった。

GWを利用して嫁ちゃんと娘は実家に帰省、のんびり暮らしています、まっさんです。のんびりしている場合じゃない、明日までにこの散らかった部屋をどうにかしなければ。今回はUTMFのメインの補給に唐揚げがメインとなってしまった話です

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序盤から来た気持ち悪さ

天子山地〜熊森からのロード

走っていた、とにかく前を見て走っていた。

熊森山の下りはとにかくひどかった。泥だらけだ、
降りしきる雨の中、私は走っていた、さっきから胃がむかむかする気がする。

自分に言い聞かせる。
まだ50kmも走ってない、序盤だ、このムカムカは気のせいに違いない。

そのうちそのこれは気のせいではないと気付いた。
とにかく気持ちが悪いのだ。
なんでだろう冷えたんだろうか。

この先、頑張れば28kmぶりにエイドがある、そこで温かい物でも食べて何とか回復したい、いやするはずだ!

A2麓

エイドに着いた、ここは名物富士宮焼きそばがあるエイドだ、オフィシャルビデオでみんな美味しそうに食べていた。

天子山地を登っている時は食べたくてしょうがなかった夢にまで見た富士宮焼きそばがそこにある。

1パックもらった。
手にした瞬間吐き気がした。

あんなに楽しみにしていた焼きそばが気持ち悪くて食べられないなんて、それどころか他のものも何も食べたくない。

サポートOちゃん

ここはサポートが入れるエイドだ、私は後輩のOちゃんにサポートを頼んでいた。
Oちゃんは170cmで80kgもあるがマラソンを3時間ちょいで走る、信じられないランナーだ。

一応ぼかす。人が良さそうなのは伝わるはずだ!
トレイルランは始めたばかりで、自分のことを隊長、隊長と呼んで崇拝している。試走だっていつも付き合ってくれる。ペースも同じくらいなので実に走りやすい。それが相棒Oちゃんだ。

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どうしたんですか食べないんですか?
このあと竜ヶ岳ですよ!

食べられないんだ。
なんだかとっても気持ちが悪いんだ。

とにかく後のボリュームゾーンに飲み込まれたくない、エイドを出るよ。

何か食べたいものありますか?次のエイドまでに買ってきます。

いやOちゃん大丈夫だ、こんなとこにコンビニはないよ。ここまでも寝てないんだからA4のエイドで少し休んだらいい、よし行ってくるよ大丈夫、大丈夫。

Oちゃんは関西人で上京してきたばかり、この辺りの地理は全くわからない。夜の運転も危険だから無理をさせたくなかった。

隊長!何か買ってきます!おにぎりはどうですか?

わかった、おにぎりだったら食べられるかもしれない、次のエイドでおにぎり楽しみにしているよ。4時までに行くからな、お前の握ったやつはいやだぞ!!!運転気をつけろよ!

と言って私は走り始めた。

A3本栖湖エイド

暴風の竜ヶ岳、そこからの泥だらけの下り、多くの人が本栖湖エイドではぐったりしていた、私はと言えば体も冷え、食べられない。もう、Oちゃんには悪いけど続けるのは無理なんじゃないかと思っていた。その時Oちゃんからメールが来た。

少し遅れていますね、渋滞ですか?大変みたいですね、本栖湖で少し休んでくださいね!コンビニを回っています何か買っていけるかもしれません!!!

涙が出そうになった。休めばいいのにどこまでいったんだ?わからないけどOちゃんもこんな俺のために、がんばってくれている。無理矢理ゆば丼とバナナを口に押し込み、モルテンドリンクだけを頼りに山に入った。

ハンガーノックと猛烈な眠気

体が動かない、上りでどんどん抜かされる、平地に行けば大丈夫だ、下りだって飛ばせるはずだ!

しかし、そんな事はなかった。
猛烈に眠い。
気持ちの悪さより今眠さが辛い。
ハンガーノックか?

立ったまま30秒寝るまた動き出す
立ったまま30秒寝るまた動き出す
立ったまま30秒寝るまた動き出す
立ったまま30秒寝るまた動き出す

それを延々と繰り返した。
記憶がほとんどなかった。
この区間は3時間、できれば2時間50分で通り抜けるはずだった、それが実際は4時間以上かかってしまっているのにまだ着かない。

あと少し、Oちゃんがおにぎりを用意して待っていてくれる、ゆっくり噛めばおにぎりだったら消化できる。きっと糖質が力にもなるだろう。頭の中はもうおにぎりのことしか考えられない。

おにぎりくんみたいなOちゃんがおにぎり持っている姿を想像したら笑えた。

ここから補給はほぼから揚げとなる

A4精進湖民宿村

エイドにつくとOちゃんが手を振っている。
元気そうだ、少しは寝れたのかな、サポートゾーンに走る。
少し元気が出てきた。早くおにぎりを食べたい。
そんな気持ちで合流すると、Oちゃんから信じられない一言が出た。

隊長、唐揚げです、たくさん買ってきました!


写真はイメージです

唐揚げだと!?唐揚げってあの唐揚げか、運動会じゃねーんだ、いや運動会か!ふむ、ある意味運動会とも言える、いやいや違う違うw、いずれにせよ気持ちが悪いのになんで俺が唐揚げを食べなきゃいけねーんだ!
そんな気持ちがあり、Oちゃんに向かって、

唐揚げはね〜だろー!

と半分本気まじりで言ってしまった、Oちゃんはハッとして顔を曇らせ、

すみません!

と謝った。
しまったと思った。
4時に行くよ!と言っていたのに結局6時半だった。Oちゃんは2時間以上ずっとエイドの入り口で自分を待っていたんだ。から揚げ持って。

すぐに、

ごめんごめん、すっかり気持ち悪いの治ったんだ、から揚げうまそうじゃん、マジ助かったよ!

と言って唐揚げを飲み込むように続けざまに9個食べた、Oちゃんが見えなくなったら全部その辺で吐いてしまえばいい。
そう思って唐揚げを飲み込むように押し込んだ。
Oちゃんは、

すごい食べっぷりですね!回復したんですね!

と大喜びだ。

バカヤロー俺を誰だと思ってんだ、鉄人じゃねーぞ、鉄だぞ!

鉄ですか!さすがですね!

おう、胃袋だって鉄だ!はははは!

とおどけてポーズをとった写真を撮ってもらい急いでエイドを出た。

A4を出てから

Oちゃんが手を振っている、元気にわざと軽い足取りでエイドを出て行く。

実際は私の胃袋はオブラートでできており、唐揚げの油がオブラートを溶かし始めていた、ちょっとダッシュしたのもあり、さらに気持ちが悪い。

人もまばらになったコース脇で寝転がった。
とにかく気持ちが悪い。早く全部吐いてしまおう。

そう思ったけどOちゃんの考えることだ。
彼はああ見えてフルマラソンを3時間で走る。
80キロもあるのに。

何か考えがあるのかもしれない、第一、せっかく買ってきてくれたんだ、もう少し胃に留めといてやろう。

吐くのはまだ早い。
走れないならあるこう。
1時間歩くことにした。

1時間歩いていると気持ち悪いのが少し治ってきた10のうち10だった気持ち悪さが8くらいになっている。
唐揚げを食べたのだから、15位になってもおかしくないはずなのに。

その瞬間私は猛烈に後悔した。
からあげはねぇだろ!
と言った時Oちゃんがすみませんと謝ったことだ。
なんてことしてしまったんだ。
世間はゴールデンウィークなのに、Oちゃんはサポートだけのために来てくれたんだぞ。猛烈に後悔した。

私は携帯を取り出しOちゃんにLINEを送った。

すげーよ唐揚げ!元気出た!何だか知らないけど力がみなぎってきて、ガンガン走れちゃってるぜ!4時間て言ったけど3時間で着いちゃうぞ。寝過ごすなよー!

3時間でこの区間走りきれるわけない、と思っていたが自分へのプレッシャーだ。
ロードはなんとかペースを上げる。
きっと3時間切ったらOちゃんも喜ぶだろう。
行くしかない!携帯をしまって走り出した。

A5勝山

走りながら左手に河口湖が見える、トップのプロ選手はもうゴールしただろう、でも市民ランナー達はまだまだこれから。先は長い。

暖かくなってきたこともあり、気持ち悪さはほとんどなくなっていた、ずいぶんたくさん抜いて本当に2時間50分で走り切ってしまった。これで胸張ってOちゃんに唐揚げありがとうと言える。誇らしげな気分だ。

ここから補給を立て直して100キロ過ぎからいよいよペースアップだ、夜になるけれども防寒の準備も万全だ、さてOちゃんはどこだ?

いた!ん???手に何か持っている!

か、から揚げだ、唐揚げ棒だ!!!!

気を失いそうになった、Oちゃんはとにかく喜んでいた。

そして奴はこう言ったのだ、

唐揚げよかったです!買い足してきました!
から揚げ棒もあります!!

か、買い足した、だと、?から揚げ棒?から揚げと何か違うのか、から揚げ本体をただ串に刺しただけじゃないのか?そして、な、なぜだ、なぜまた俺が唐揚げを食さねばならないのだ。今、気持ち悪いのがやっと治ったばかりじゃないか。こいつは一体何をしたいんだ。

Oちゃんは興奮状態だ、そりゃそうだ前のエイドで2時間半も遅れてきたのに、今度は4時間で行くと言ってたところ2時間50分で現れたのだ。自分の買ってきた唐揚げのおかげで隊長の体調が回復したと信じ切っているのだ。から揚げ棒を持って小躍りするハイテンションなこいつは不思議な男である。

こいつ、俺にから揚げ何個食わせる気だ!
せっかく治った胃のムカムカ感、また復活するんじゃねーか!と怯えながらから揚げ棒2本と唐揚げ1パックを食べた。

さっきは9個だったのに、今回は13個ですか!Oちゃんの言葉が力強い。

健康な状態でも気持ち悪い量だ。13個ですよ、、、。
その時、Oちゃんが信じられない一言を発した。

から揚げ棒持っていきますか!

??ん、??か、から揚げ棒を持って行く?俺にから揚げ棒を持って走れと言うのか、聖火ランナーじゃねーんだぞ!唐揚げランナーになっちゃうんだぞ!おもしれーじゃねえか!そんなこと思っていたら大笑いしてしまった!

東京オリンピックの坂井選手。

ありがとう唐揚げ棒もってくぜ!

そう言って聖火ランナーの真似をして唐揚げ棒を右手にエイドを駆け抜けた。周りの人も笑っていた。

から揚げ棒を右手に持ち、5個パックの唐揚げをジェルが入っているポケットに入れた。あと10個どこで食べんだよ、俺は。一瞬捨てようかと思ったが登山道で捨てると熊の餌になったりして絶対によくない。しかたなく上りは唐揚げを食べながら登る。下りはゆっくり抑える。気持ち悪くならないように。

周りのランナーにドン引きされた。よくそんなもん食えますね…。な、なんで今唐揚げ持ってんすか?

いやなぜこうなったかは私にもわからないんです。などと謎の答えを返しつつ、雨の中食べる唐揚げには確かな手ごたえを感じる。もちろん若干の気持ち悪さも感じる。この日のために買った50%オフのアルティメイトディレクション、スコットジュレクバージョンの白いリュックにも唐揚げの油が染み始めている。くそー、これ洗ったら落ちるんかいな、、、。

そんなことをしていたら長いはずの忍野までの21kmがあっという間だった。もちろん明るかったこともあるかもしれない。

こうなるともう唐揚げのことしか考えられない。コース脇でOちゃんにメールを送った。

おい唐揚げ追加頼むぞ、きららで唐揚げパーティだぞ!!

そのあとすぐ雪が降ってきて、走り出したA6忍野でレースは中止になった。

迎えにきたOちゃん

A6に迎えに来てもらった、レース中止を残念がりながらも凄いですよ隊長ここまでよくがんばりましたよ、と言ってくれた。なぜかびちゃびちゃだった。待っている間にゴールを見ていて興奮し、河口湖を雨の中1周走ってきたらしい。19キロしかなかったと残念そうだ。つくづく不思議な男だ。

Oちゃんと固い握手を交わした。
おっ、おーぉい、後部座席にはまた大量のから揚げだ!またたくさん買ってきてる。こいつはバカなのか、ド素直なだけなのか?まあ、唐揚げパーティーだ、買ってこいと言ったのは自分だけどw仕方なく、唐揚げを食べながらスタート地点に戻った。お前も食えと大量に食わせた。

打ち上げ何食べますか?

から揚げに決まってんだろ!

か、から揚げですか、すみません、予想してなかったので今ググります、すみません!

ウソだ、ウソ!もう今はなんも食べたくねー、
後日仕切り直そうぜ。焼肉オゴるぜ!

そうですね、いまいらないですね。

Oちゃんも無理矢理唐揚げを食べさせられていたので気持ち悪くなっていたようだ。

Oちゃんがカウントしたところによると精進湖のエイドから、私が食べた唐揚げは35個だったらしい。

我ながらすごい数だもう唐揚げはしばらく食べたくない。

なぜから揚げだったのか?

Oちゃんに聞いた。
なぜおにぎりじゃなくて唐揚げだったんだい?と。なんと、何も売ってなかったのことだった。
行く先、行く先のコンビニで物が少なく、ほとんど食べ物がなかったようだ。
そこでOちゃんが考えたのは、ファーストフードを揚げてもらうという事だった、もちろん断られまくり笑3軒目のセブンイレブン

気持ち悪いほど頼んだ。(本人談)

その必死さに、おばちゃんが仕方なくフライヤーに油を入れ、稼働し唐揚げを揚げてくれたらしい、流石にアメリカンドックではないなと思ったようで、唐揚げなら持ち運べるし少しずつ口に入れられると思ったようだ。

1つ間違えたらアメリカンドッグランナーになるとこだったのか、、、。

ここまで考えてしかも実行に移すサポーター、凄いと思う。確かに登る時、唐揚げをひとつずつ取り出し出しながら食べた。

意外と食べやすかった。
から揚げ棒だって悪くなかった。
ただ棒が邪魔だった。

Oちゃんはから揚げ買って怒られて、しょげていたようだ。なんで唐揚げなんて買ってしまったんだろうと思ったとのことだった。そこに唐揚げでパワーでた!と言うメールが来て、飛び上がるほど嬉しかったらしい。

そしてまた先程のセブンイレブンに行って唐揚げを揚げてもらったとの事だった、だからまた唐揚げを持っていたんだ。から揚げ棒に関しては少し調子乗りました、すみませんと言っていた笑

次はせめて肉まんとかで頼むよ、と話したらあっ、肉まん、肉まんがありましたね。肉まんだったらレンジでチンで良かったですね、などと言っていた。きっと次は肉まん補給だ。

最初はから揚げなんてふざけんなと思っていたが、レースを進めるにつれて身体がから揚げを求めているのを感じた、むしろ忍野では早くきららについてから揚げを食べたかったw

そして、から揚げを見るたびに、
セブンイレブンに入るたびに、
UTMFのことを思い出すんだろうなぁ、
という気持ちになっている。

Oちゃんの中では、あの過酷な天候の中でから揚げパクパク食べながらガハハハと笑ってレースを終了させた隊長はもはや鉄人となっただろう。いや、鉄かw

しかし、本当にから揚げはもういらない。
2日経っても顔がベタベタする。

コメント

  1. KANAYOGA より:

    笑っちゃいました。
    唐揚げとOちゃん。笑

  2. kazz-matsumura より:

    カナせんせ サポートも一生懸命なのですが伝え合う時間も少ないので誤解も生まれこんなことも起きました、後からの答え合わせが面白かったです!サポートについては真面目に書きますのでもうしばしお待ちを!

  3. garajimajon より:

    神回ですね。
    笑いが止まりません。
    唐揚げを食べ続けたまっさん、男前過ぎます!!
    つか、唐揚げはないわー。(笑)

  4. kazz-matsumura より:

    神回てw
    いやー、最後はもう身体がから揚げを欲しがってました、から揚げがない、ヤバイ、早くから揚げ食べなきゃ的な。
    マラソンのエイドにもバナナとから揚げ並んでたらきっとあっくんもから揚げとると思いますよー!

  5. nightswimming1975 より:

    UTMF出場し勝山で脚終了のためリタイアしたのにMF_KATSUYAMAの完走者になってしまったラッキーボーイです。唐揚げで今年一番笑わせていただきました。まさか近くでそんなにおかしなことがあってたなんて、それだけでもUTMFに出場した甲斐がありました。嫁が走ることに理解を示してくれなかったり、シューズの多さを罵られたりフルのタイムが近かったりで非常に親近感を覚えました。フォローさせて頂きます。

  6. kazz-matsumura より:

    ラッキーボーイさん
    それだけで出た価値があるとかww
    ぜひぜひ今後は切磋琢磨しつつ、嫁さん問題、靴問題を乗り越え、来年は完走いたしましょう!!

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