ランナーとして今どう走るか
新型コロナが猛威を振るう中、ランナーにもその波は確実に押し寄せており、大会中止のみならず走ることや自分の走ったことをSNSに上げる事に対しても否定的な声が上がったりするなど論議に上がる場面も増えてきました。攻撃的なツイートをする方も出てきました。
この様な状態を「過覚醒」または「覚醒亢進」と言います。強いストレスなどを受けたときなどに普段の自分が保てず攻撃的になるPTSDの症状の一つです。
たむらさんの場合、ご自身の飲食店の閉鎖など大変ストレスが多いと推察されます。
誰しもなりうる状態なのでランナーの皆様は冷静に対応すべきです。 https://t.co/K9lHnHvVT0— まっさん@ver.2.1 (@kazzmassan) 2020年4月20日
とてもキツい言葉ですがどう受け止めますか?
こんな中で我々ランナーはどのように日々を過ごしていくべきなのか?
出来るだけわかりやすく事実や学問として体系化されている事のみを噛み砕いてお伝えしていこうと思います。
(〜だと思います、などという想像の域の事は可能な限り避けます。)
前提(わたしのこと)
私の仕事の中で必要な専門分野は生理学、解剖学がメインです。付随する分野として科学(および化学)や臨床心理学もあります。それを実践、または、教育する立場でもあります。
なんかモヤモヤする、走っていいのか?ジョギングは良いはずなのになぜ非難される?ランツイートはやめたほうがいいのか?人のランツイート見るとイライラする、などなど、、、。ありませんか?
今のところないなら読む必要はないです。
記事を書くにあたりランナー目線で起こっていることを書けたらいつも一緒に走っている仲間たちの何かになるのではないか、自分も多くのストレスを抱える中で一度整理してみたい、と思い書くことにしました。
区分けとしては大半は臨床心理学になります。
専門分野の方がお読みになった際にはニュアンスや知識そのものが違うと感じることもあるかもしれません、研究や学問としてではなく実践の場面からの話なので理解できる範囲であればご容赦ください。知識自体が間違えていると感じた場合、その際はご指摘下さい。
ややこしい話かつ、いつものあほランナーブログではないですが明確に立場を明かせないので知っている人もその辺りは察してください。
ではさっそく参ります。
PTSDとは何か?
まずはPTSDについてです。
Wikipediaから引用しておきますが、いわゆる
「トラウマになった。」
ってやつです。
心的外傷後ストレス障害(しんてきがいしょうごストレスしょうがい、Post Traumatic Stress Disorder、PTSD)は、命の安全が脅かされるような出来事(戦争、天災、事故、犯罪、虐待など)によって強い精神的衝撃を受けることが原因で、著しい苦痛や、生活機能の障害をもたらしているストレス障害である。症状がまだ1か月を経ていないものは急性ストレス障害といって区別する。Wikipediaより
また症状が1ヶ月たつと精神的ストレスは落ち着いてくるとされておりこれを急性ストレス障害(ASD)と言います。
例 親の死に立ち合い辛く苦しい思いをしたが1ヶ月も経つとだいぶ落ち着いてきた。
新型コロナが猛威を振るっており、世界がその脅威に晒されているのは極めて稀な状況にあります。
普段味わったことのない「命の危険」を日々意識する状態が長く(1ヶ月以上)続くからです。
その中で多くの人が同じようにストレスを抱え、戦っています。
ストレスはうまく回避すべきでありますが、長期にわたってストレスを浴び続けると何が起こるのでしょうか?
PTSDの症状とは?
主にPTSDには以下の3つの基本的症状があります。
①「過覚醒」他の表現で覚醒亢進
②「回避」他の表現で麻痺
③「再体験」他の表現で追体験・侵入・フラッシュバック
です。もう一つ加えられることもあります。(②に含まれることもありますが時間軸が違うので分けます。)これを
④「解離性健忘」わかりやすくいうと記憶喪失、ってヤツです。
人ごとではなく、もう多くの人がいずれかの症状を少なからず呈していると感じます。
このままではかなりわかりにくいので例えを作ります。
あなたは鹿で水を飲みに川に行った
という状況があるとします。
そして突然、熊に襲われました。
瀕死の重傷を負いました。なんとか生き残れた。
ケガが身体的に治ってきましたが、心の中の傷が残りました。それが「トラウマ(心的外傷)」です。
襲われた鹿に症状を当てはめてみます。
①過覚醒
いつまた熊が襲ってくるかわからない、ビクビクする、物音に敏感になる、寝られないというか命を守るために寝ない、眠くない。食べなくても腹減らない、神経が尖っている感じ。
②回避
襲われた状況が怖すぎるのでそれを思い出すのを避ける、またその状況(水を飲みに行く)を避けるようになる。
パニックになるのを避ける為に、群れ(社会)の中では冷静に何もなかったように振る舞います。
③侵入(フラッシュバック・再体験)
何度も何度も「水を飲みに行って熊に襲われたこと」を思い出します。というか思い出したくなくても、その状況が思考に侵入してきます。
水の音を聞いたり、喉が渇いたり、仲間が水を飲んだと聞くたびに熊に襲われたことを思い出します。
生命活動を維持するには同じようなことがあってはならない(=その場所でまた襲われるかも)と脳が意識させて来ます。
④解離性健忘(②の麻痺に近いがもっと長いまたは永遠にその状態)
①②③があると普通に暮らせないので、襲われた事自体が無かったかのようにすっぽり怖い記憶が抜け落ちます。よって水を飲みに行くこともできるし、よく眠れます。ただ、記憶がないことは意識していて「何をしてたんだっけ、この大ケガの痕は何だろう」と思いながら暮らしてます。平和。
今後の予定
長くなりましたが、次からもう少しわかりやすくなるはず、、、。
PTSDの3症状やストレッサーとは何か、このような状況に対応していけば良いか?
需要ありそうなら、次回は「ストレッサー」についてです。
コロナ前と今では何が大きく変わってストレスになっているのでしょうか?ってところです。
自分はこの藤井アナの言葉に励まされました。
「今、緊急事態宣言を受けて、自分を律している人ほど観光や遊びに出ている人を腹立たしく思うかもしれません。
しかし、皆さんのような人がいるからこそ、欧米のような医療崩壊が防げています。今はみんなの足並みがそろわなくても、その姿勢は必ず誰かの行動を変えるはずです。
そして、全国にはまだ感染者の少ない地域も多くあります。不用意に生活エリアを超えた移動をしないこと。これが誰かのふるさとを守ることにつながります。」
寄り添う、とはこういうことではないでしょうか?
声高らかに危険ばかりを伝える”専門家”。
しかし多くは「推察」や「かもしれない。」ということばかりです。
専門家より正しい真実を自分が表現するならば
「未知なので何も分かりません」
ということです、誰でもわかる単純なことです。
けど専門家はそういうわけにはいきません。
今のフェーズでは正常性バイアスをぶち壊して恐怖を植え付ける、間違ってはいないと思います。
ただ、多くの人が恐怖に駆られて暴力的になったりするのも間違っています、やもすると間も無くメンタルについての報道も多くなると思います。
精神衛生については、少しでも早く正しい知識を知っていた方が良いです。
これだけ今までと違う環境に置かれるとみなストレスを感じます。あたりまえです。
みんなつらい、ので同じような悩みを抱えます。
頑張っていきましょう!
結局長くなるよな、、、すません。
コメント
まっさん、お仕事も大変な中、情報というか知識の発信ありがとうございます。僕はまだ比較的平常に近い精神状態にあるつもりですが、いつそのような状態になってもおかしくはないですね。あるいは自分で認識できていないだけかも知れません(流石に解離性健忘ではないと思いますが)。正確な知識を分かりやすく伝えていただけると助かります。無理のないペースで発信していただけると嬉しいです。
さつかさん、(当たり前ですが)正常ですね!いつそのような状態になってもおかしくない、この感情大事です!
しっかり自分の状態見極めて無駄なストレス受けないようにしたいですね、のんびりですが書いていこうと思います。コメントありがとうございます!